更年期と高血圧と向き合って生まれ変わった話<3>
更年期と高血圧でにっちもさっちも行かない日々。
暗闇から一筋の光が差したきっかけは、アーユルヴェーダでした。

なんかもうこの画像みたいに何時間でも外でぼーっとしたい時、ありました
▶︎ 更年期と高血圧と向き合って生まれ変わった話<1>はこちら
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アーユルヴェーダが私の更年期を救った
アーユルヴェーダは、数千年前から受け継がれてきたインドの伝統医学です。古典書には、食事や睡眠、季節の過ごし方など、健やかに生きるための知恵が記され、その多くは現代の暮らしにも活かすことができます。
そのひとつが、オイルを使ったケアです。古典にはアビヤンガ(オイルマッサージ)や、現在のシロダーラにつながる頭部へのオイル療法が記されています。
アーユルヴェーダでは、人生の後半は「ヴァータ」という、動き・変化・乾燥などの性質が高まりやすい時期と考えます。さらに更年期そのものも、女性の身体が大きく変化する時期。
古典ではアビヤンガは、ヴァータを鎮める養生法のひとつとされています。
だからこそ、心も体も大きく揺らぐ更年期に、温かさと油分を与え、ゆっくりと自分をいたわるアーユルヴェーダのオイルケアを取り入れる。
何千年も前に記された知恵が、現代を生きる私たちの更年期にもつながっているのです。

今年7月に訪れたインドのケララ州・バルカラの施術所はこんなイメージで、木製のベッドでした
アーユルヴェーダ医のカウンセリングを受ける
ということで、アーユルヴェーダのカウンセリングと施術が受けられる「ハタイクリニック」(2026年8月に惜しまれながらアーユルヴェーダ部門は閉院)の門を叩きました。
ドクターは及川史歩先生。先生は、インド政府認定のアーユルヴェーダ医師(B.A.M.S.)であり、東京都三鷹市にあるダンヴァンタリ アーユルヴェーダ スクールの校長でもあります。
私の主な悩みは、更年期に入ってから始まったホットフラッシュと、血圧が高めになったことでした。
アーユルヴェーダでは、こうした症状だけを見るのではなく、その人の体質や、食事、睡眠、排泄、生活習慣、季節、年齢など、さまざまなことを手がかりに、今の心と身体の状態を見ていきます。
私はそれまでにも、漢方や中医学の診察を受けた経験があり、症状だけでなく、体質や食事、睡眠、便通、日々の過ごし方など、その人全体を見ながら身体の状態を捉えていく考え方には馴染みがありました。
アーユルヴェーダの診察にも、それとどこか通じるものを感じました。
では、アーユルヴェーダではどう見るのか。及川先生は私の目をまっすぐに見て、丁寧に話を聞いてくださり、色々質問をして、見立てをしていきます。
もともとどんな体質なのか。
暑がりなのか、冷えやすいのか。
眠れているか。
便通はどうか。
何を食べているか。
どんな生活をしているか。
今はどんな季節なのか。
そして、人生のどんな時期にいるのか。
そうしたことを一つひとつ見ながら、
「なぜ、この人の身体に、今、このような変化が起きているのだろう?」
と考えていくのですね。
同じ「更年期」という年代にいても、ホットフラッシュが強い人もいれば、眠れなくなる人、気持ちが落ち着かなくなる人、むくみや重だるさが強くなる人もいます。
アーユルヴェーダでは、それらをすべて「更年期だから」とひとまとめにはせず、その人の体質と、そのとき起きている心身の変化を見ながら、食事、睡眠、運動、日々の過ごし方、ハーブやオイルケアなどを考えていきます。
西洋医学とアーユルヴェーダ。
どちらが正しい、どちらが優れているということではなく、同じ身体を少し違った角度から見ている。私はアーユルヴェーダを知って、この「人を丸ごと見る」という考え方に、とても惹かれました。
いよいよオイルケア(アヴィヤンガ・シロダーラ)を受ける
これからの施術計画がかたまり、日を改めて再度ハタイクリニックへ。

からだにオイルを塗布してから蒸気浴をし、発汗をしてから額にオイルを一定のリズムでゆっくり垂らし続ける「シロダーラ」も受けました。
「シロー」は頭、「ダーラ」は流れを意味します。
アーユルヴェーダでは、頭部へのオイルケアは、心身を落ち着かせ、休息へと導くために用いられてきました。特に、考えごとが多い、眠りが浅い、気持ちが落ち着かないなど、ヴァータの性質が高まっていると考えられるときに取り入れられます。
額に温かいオイルが絶え間なく流れる独特の感覚は、頭の中のスイッチをゆっくり切っていくような、深いリラックス感をもたらします。
また、オイルは結構な量を使います。体には200mlほどオイルを使うそうです。
オイルも古典書に書かれたレシピで作られた色々な種類のものがあり、その人の状態に合わせて選びます。
このオイルマッサージがとても気持ちよくて、シロダーラは私にとって肉体と精神が少し距離が出たような感覚を覚えました。
そして、施術が終わったあと。
あれほど頭の中をぐるぐると動き回っていたものが、すっと静かになったような感覚がありました。
そして驚いたのが、血圧です。
施術の前後で血圧を測ると、施術後には数値が下がっていました。
もちろん、一度の施術で血圧が下がったからといって、「アーユルヴェーダで高血圧が治った」という話ではありません。
でも、私にとっては大きな気づきでした。
それまで私は、高くなる血圧を見ては不安になり、
「どうやったらこの数字を下げられるんだろう」
と、数字ばかりを追いかけていました。
アーユルヴェーダでは、ヴァータは「動き」や「変化」に関わる性質と考えられています。
更年期という大きな変化の中で、心も体も揺れ動いていた私。
温かいオイルに包まれ、動き続けていたものが静まっていくようでした。
それから、私は自分の身体を「高血圧」「更年期」という二つの言葉だけで見るのではなく、もっと大きく捉えてみてもいいのかもしれない、と思えるようになりましたし、
「今の私の身体には、何が必要なんだろう」と考えるようになりました。
振り返ってみると、それが私にとって、アーユルヴェーダとの本当の出会いだったのだと思います。
それから約2年。
私は月に一度、定期的にアーユルヴェーダのオイルケアを受けてきました。
そして今では、以前のように血圧が高めの日が続くことは、ずいぶん減りました。
もちろん、これはオイルケアだけのおかげだとは思っていません。
日々の暮らしの中でも、アーユルヴェーダで教わったケアを取り入れ、食事や睡眠、過ごし方にも目を向けるようになりました。
さらに、心拍数を上げる軽い運動も続けています。
何かひとつの特別な方法で身体が変わったのではなく、自分の身体の声を聞きながら、できることを少しずつ積み重ねてきた結果なのだと思います。
更年期と血圧のことで、にっちもさっちもいかず、暗闇の中にいるように感じていた私。
そんな私に、最初の一筋の光を見せてくれたのがアーユルヴェーダでした。
その小さな光を頼りに、自分の身体との付き合い方をひとつずつ変えていったら、いつの間にか光は少しずつ広がっていきました。

そして今。
あの頃には想像できなかったほど、大きな晴れ間が見えています。
更年期は、ただ耐えて通り過ぎるだけの時期ではない。
私にとっては、自分の身体を知り、これからの生き方を見直す、大きな転換期になりました。
実は、ハタイクリニックと同時期に通い始めたアーユルヴェーダの料理教室も、私にとっては大きな存在になりました。
次回は、アーユルヴェーダカフェ ”eatreat.ruci”についてご紹介します。
